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特別養護老人ホーム

特別養護老人施設

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特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準
(平成十一年三月三十一日厚生省令第四十六号)


最終改正:平成二〇年九月一日厚生労働省令第一三七号


 老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第十七条第一項 の規定に基づき、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を次のように定める。


 第一章 総則(第一条)
 第二章 基本方針並びに人員、設備及び運営に関する基準(第二条―第三十一条)
 第三章 ユニット型特別養護老人ホームの基本方針並びに設備及び運営に関する基準(第三十二条―第四十二条)
 第四章 一部ユニット型特別養護老人ホームの基本方針並びに設備及び運営に関する基準(第四十三条―第五十三条)
 第五章 地域密着型特別養護老人ホームの基本方針並びに設備及び運営に関する基準(第五十四条―第五十九条)
 第六章 ユニット型地域密着型特別養護老人ホームの基本方針並びに設備及び運営に関する基準(第六十条―第六十三条)
 第七章 一部ユニット型地域密着型特別養護老人ホームの基本方針並びに設備及び運営に関する基準(第六十四条―第六十七条)
 第二章 基本方針並びに人員、設備及び運営に関する基準


(基本方針)
第二条  特別養護老人ホームは、入所者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。
3  特別養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って処遇を行うように努めなければならない。
4  特別養護老人ホームは、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

(構造設備の一般原則)
第三条  特別養護老人ホームの配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等の入所者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

(設備の専用)
第四条  特別養護老人ホームの設備は、専ら当該特別養護老人ホームの用に供するものでなければならない。ただし、入所者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。

(職員の資格要件)
第五条  特別養護老人ホームの長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項 各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
2  生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項 各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
3  機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行う能力を有すると認められる者でなければならない。

(職員の専従)
第六条  特別養護老人ホームの職員は、専ら当該特別養護老人ホームの職務に従事する者でなければならない。ただし、入所者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。

(運営規程)
第七条  特別養護老人ホームは、次に掲げる施設の運営についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。
一  施設の目的及び運営の方針
二  職員の職種、数及び職務の内容
三  入所定員
四  入所者の処遇の内容及び費用の額
五  施設の利用に当たっての留意事項
六  非常災害対策
七  その他施設の運営に関する重要事項

(非常災害対策)
第八条  特別養護老人ホームは、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、それらを定期的に職員に周知しなければならない。
2  特別養護老人ホームは、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行なわなければならない。

(記録の整備)
第九条  特別養護老人ホームは、設備、職員及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者の処遇の状況に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
一  入所者の処遇に関する計画
二  行った具体的な処遇の内容等の記録
三  第十五条第五項に規定する身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
四  第二十九条第二項に規定する苦情の内容等の記録
五  第三十一条第三項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

第十条  削除

(設備の基準)
第十一条  特別養護老人ホームの建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)でなければならない。ただし、入所者の日常生活に充てられる場所を二階以上の階及び地階のいずれにも設けていない特別養護老人ホームの建物は、準耐火建築物(同条第九号の三 に規定する準耐火建築物をいう。以下同じ。)とすることができる。
2  前項の規定にかかわらず、都道府県知事(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、次の各号のいずれかの要件を満たす木造かつ平屋建ての特別養護老人ホームの建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。
一  スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二  非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三  避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
3  特別養護老人ホームには、次の各号に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより当該特別養護老人ホームの効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、次の各号に掲げる設備の一部を設けないことができる。
一  居室 
二  静養室(居室で静養することが一時的に困難な心身の状況にある入所者を静養させることを目的とする設備をいう。以下同じ。)
三  食堂
四  浴室 
五  洗面設備
六  便所 
七  医務室
八  調理室
九  介護職員室
十  看護職員室
十一  機能訓練室
十二  面談室
十三  洗濯室又は洗濯場
十四  汚物処理室
十五  介護材料室
十六  前各号に掲げるもののほか、事務室その他の運営上必要な設備
4  前項各号に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。
一  居室 
イ 一の居室の定員は、四人以下とすること。
ロ 地階に設けてはならないこと。
ハ 入所者一人当たりの床面積は、十・六五平方メートル以上とすること。
ニ 寝台又はこれに代わる設備を備えること。
ホ 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
ヘ 床面積の十四分の一以上に相当する面積を直接外気に面して開放できるようにすること。
ト 入所者の身の回り品を保管することができる設備を備えること。
チ ブザー又はこれに代わる設備を設けること。
二  静養室
イ 介護職員室又は看護職員室に近接して設けること。
ロ イに定めるもののほか、前号ロ及びニからチまでに定めるところによること。
三  浴室介護を必要とする者が入浴するのに適したものとすること。
四  洗面設備
イ 居室のある階ごとに設けること。
ロ 介護を必要とする者が使用するのに適したものとすること。
五  便所 
イ 居室のある階ごとに居室に近接して設けること。
ロ ブザー又はこれに代わる設備を設けるとともに、介護を必要とする者が使用するのに適したものとすること。
六  医務室
イ 医療法 (昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第二項 に規定する診療所とすること。
ロ 入所者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること。
七  調理室火気を使用する部分は、不燃材料を用いること。
八  介護職員室
イ 居室のある階ごとに居室に近接して設けること。
ロ 必要な備品を備えること。
九  食堂及び機能訓練室
イ 食堂及び機能訓練室は、それぞれ必要な広さを有するものとし、その合計した面積は、三平方メートルに入所定員を乗じて得た面積以上とすること。ただし、食事の提供又は機能訓練を行う場合において、当該食事の提供又は機能訓練に支障がない広さを確保することができるときは、同一の場所とすることができる。
ロ 必要な備品を備えること。
5  居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室(以下「居室、静養室等」という。)は、三階以上の階に設けてはならない。ただし、次の各号のいずれにも該当する建物に設けられる居室、静養室等については、この限りでない。
一  居室等のある三階以上の各階に通ずる特別避難階段を二以上(防災上有効な傾斜路を有する場合又は車いす若しくはストレッチャーで通行するために必要な幅を有するバルコニー及び屋外に設ける避難階段を有する場合は、一以上)有すること。
二  三階以上の階にある居室等及びこれから地上に通ずる廊下その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でしていること。
三  居室等のある三階以上の各階が耐火構造の壁又は建築基準法施行令 (昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第一項 に規定する特定防火設備(以下「特定防火設備」という。)により防災上有効に区画されていること。
6  前各項に規定するもののほか、特別養護老人ホームの設備の基準は、次に定めるところによる。
一  廊下の幅は、一・八メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は、二・七メートル以上とすること。
二  廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。
三  廊下及び階段には、手すりを設けること。
四  階段の傾斜は、緩やかにすること。
五  居室、静養室等が二階以上の階にある場合は、一以上の傾斜路を設けること。ただし、エレベーターを設ける場合は、この限りでない。

(職員の配置の基準)
第十二条  特別養護老人ホームには、次の各号に掲げる職員を置かなければならない。ただし、入所定員が四十人を超えない特別養護老人ホームにあっては、他の社会福祉施設等の栄養士との連携を図ることにより当該特別養護老人ホームの効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、第五号の栄養士を置かないことができる。
一  施設長 一
二  医師 入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数
三  生活相談員 入所者の数が百又はその端数を増すごとに一以上 
四  介護職員又は看護師若しくは准看護師(以下「看護職員」という。)
イ 介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とすること。
ロ 看護職員の数は、次のとおりとすること。
(1) 入所者の数が三十を超えない特別養護老人ホームにあっては、常勤換算方法で、一以上
(2) 入所者の数が三十を超えて五十を超えない特別養護老人ホームにあっては、常勤換算方法で、二以上
(3) 入所者の数が五十を超えて百三十を超えない特別養護老人ホームにあっては、常勤換算方法で、三以上
(4) 入所者の数が百三十を超える特別養護老人ホームにあっては、常勤換算方法で、三に、入所者の数が百三十を超えて五十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上
五  栄養士 一以上
六  機能訓練指導員 一以上
七  調理員、事務員その他の職員 当該特別養護老人ホームの実情に応じた適当数
2  前項の入所者の数は、前年度の平均値とする。ただし、新規設置又は再開の場合は、推定数による。
3  第一項の常勤換算方法とは、当該職員のそれぞれの勤務延時間数の総数を当該特別養護老人ホームにおいて常勤の職員が勤務すべき時間数で除することにより常勤の職員の数に換算する方法をいう。
4  第一項第一号の施設長及び同項第三号の生活相談員は、常勤の者でなければならない。
5  第一項第四号の看護職員のうち、一人以上は、常勤の者でなければならない。
6  第一項第六号の機能訓練指導員は、当該特別養護老人ホームの他の職務に従事することができる。
7  第一項第二号の医師及び同項第七号の調理員、事務員その他の職員の数は、サテライト型居住施設(当該施設を設置しようとする者により設置される当該施設以外の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設又は病院若しくは診療所であって当該施設に対する支援機能を有するもの(以下「本体施設」という。)と密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される地域密着型特別養護老人ホーム(入所定員が二十九人以下の特別養護老人ホームをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)の本体施設である特別養護老人ホームであって、当該サテライト型居住施設に医師又は調理員、事務員その他の職員を置かない場合にあっては、特別養護老人ホームの入所者の数及び当該サテライト型居住施設の入所者の数の合計数を基礎として算出しなければならない。

(サービス提供困難時の対応)
第十二条の二  特別養護老人ホームは、入所予定者が入院治療を必要とする場合その他入所予定者に対し自ら適切な便宜を提供することが困難である場合は、適切な病院若しくは診療所又は介護老人保健施設を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならない。

(入退所)
第十三条  特別養護老人ホームは、入所予定者の入所に際しては、その者に係る居宅介護支援(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第二十一項 に規定する居宅介護支援をいう。以下同じ。)を行う者に対する照会等により、その者の心身の状況、生活歴、病歴、指定居宅サービス等(同項 に規定する指定居宅サービス等をいう。)の利用状況等の把握に努めなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者の心身の状況、その置かれている環境等に照らし、その者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討しなければならない。
3  前項の検討に当たっては、生活相談員、介護職員、看護職員等の職員の間で協議しなければならない。
4  特別養護老人ホームは、その心身の状況、その置かれている環境等に照らし、居宅において日常生活を営むことができると認められる入所者に対し、その者及びその家族の希望、その者が退所後に置かれることとなる環境等を勘案し、その者の円滑な退所のために必要な援助を行わなければならない。
5  特別養護老人ホームは、入所者の退所に際しては、居宅サービス計画(介護保険法第八条第二十一項 に規定する居宅サービス計画をいう。)の作成等の援助に資するため、居宅介護支援を行う者に対する情報の提供に努めるほか、その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供に努めるほか、する者との密接な連携に努めなければならない。

(入所者の処遇に関する計画)
第十四条  特別養護老人ホームは、入所者について、その心身の状況、その置かれている環境、その者及びその家族の希望等を勘案し、その者の同意を得て、その者の処遇に関する計画を作成しなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画について、入所者の処遇の状況等を勘案し、必要な見直しを行わなければならない。

(処遇の方針)
第十五条  特別養護老人ホームは、入所者について、その者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等に応じて、その者の処遇を妥当適切に行わなければならない。
2  入所者の処遇は、入所者の処遇に関する計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して、行わなければならない。
3  特別養護老人ホームの職員は、入所者の処遇に当たっては、懇切丁寧を旨とし、入所者又はその家族に対し、処遇上必要な事項について、理解しやすいように説明を行わなければならない。
4  特別養護老人ホームは、入所者の処遇に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。
5  特別養護老人ホームは、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6  特別養護老人ホームは、自らその行う処遇の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

(介護)
第十六条  介護は、入所者の自立の支援及び日常生活の充実に資するよう、入所者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって行われなければならない。
2  特別養護老人ホームは、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
3  特別養護老人ホームは、入所者に対し、その心身の状況に応じて、適切な方法により、排せつの自立について必要な援助を行わなければならない。
4  特別養護老人ホームは、おむつを使用せざるを得ない入所者のおむつを適切に取り替えなければならない。
5  特別養護老人ホームは、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。
6  特別養護老人ホームは、入所者に対し、前各項に規定するもののほか、離床、着替え、整容等の介護を適切に行わなければならない。
7  特別養護老人ホームは、常時一人以上の常勤の介護職員を介護に従事させなければならない。
8  特別養護老人ホームは、入所者に対し、その負担により、当該特別養護老人ホームの職員以外の者による介護を受けさせてはならない。

(食事)
第十七条  特別養護老人ホームは、栄養並びに入所者の心身の状況及び嗜好を考慮した食事を、適切な時間に提供しなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者が可能な限り離床して、食堂で食事を摂ることを支援しなければならない。

(相談及び援助)
第十八条  特別養護老人ホームは、常に入所者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、入所者又はその家族に対し、その相談に適切に応じるとともに、必要な助言その他の援助を行わなければならない。

(社会生活上の便宜の提供等)
第十九条  特別養護老人ホームは、教養娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない。
2  特別養護老人ホームは、入所者が日常生活を営むのに必要な行政機関等に対する手続について、その者又はその家族において行うことが困難である場合は、その者の同意を得て、代わって行わなければならない。
3  特別養護老人ホームは、常に入所者の家族との連携を図るとともに、入所者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならない。
4  特別養護老人ホームは、入所者の外出の機会を確保するよう努めなければならない。

(機能訓練)
第二十条  特別養護老人ホームは、入所者に対し、その心身の状況等に応じて、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行わなければならない。

(健康管理)
第二十一条  特別養護老人ホームの医師又は看護職員は、常に入所者の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な措置を採らなければならない。

(入所者の入院期間中の取扱い)
第二十二条  特別養護老人ホームは、入所者について、病院又は診療所に入院する必要が生じた場合であって、入院後おおむね三月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、その者及びその家族の希望等を勘案し、必要に応じて適切な便宜を供与するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き、退院後再び当該特別養護老人ホームに円滑に入所することができるようにしなければならない。

(施設長の責務)
第二十三条  特別養護老人ホームの施設長は、特別養護老人ホームの職員の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。
2  特別養護老人ホームの施設長は、職員に第七条から第九条まで及び第十二条の二から第三十一条までの規定を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。

(勤務体制の確保等)
第二十四条  特別養護老人ホームは、入所者に対し、適切な処遇を行うことができるよう、職員の勤務の体制を定めておかなければならない。
2  特別養護老人ホームは、当該特別養護老人ホームの職員によって処遇を行わなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
3  特別養護老人ホームは、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。

(定員の遵守)
第二十五条  特別養護老人ホームは、入所定員及び居室の定員を超えて入所させてはならない。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

(衛生管理等)
第二十六条  特別養護老人ホームは、入所者の使用する食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
2  特別養護老人ホームは、当該特別養護老人ホームにおいて感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一  当該特別養護老人ホームにおける感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の職員に周知徹底を図ること。
二  当該特別養護老人ホームにおける感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
三  当該特別養護老人ホームにおいて、介護職員その他の職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修を定期的に実施すること。
四  前三号に掲げるもののほか、別に厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順に沿った対応を行うこと。

(協力病院等)
第二十七条  特別養護老人ホームは、入院治療を必要とする入所者のために、あらかじめ、協力病院を定めておかなければならない。
2  特別養護老人ホームは、あらかじめ、協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない。

(秘密保持等)
第二十八条  特別養護老人ホームの職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2  特別養護老人ホームは、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

(苦情処理)
第二十九条  特別養護老人ホームは、その行った処遇に関する入所者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2  特別養護老人ホームは、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3  特別養護老人ホームは、その行った処遇に関し、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4  特別養護老人ホームは、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。

(地域との連携等)
第三十条  特別養護老人ホームは、その運営に当たっては、地域住民又はその自発的な活動等との連携及び協力を行う等の地域との交流を図らなければならない。
2  特別養護老人ホームは、その運営に当たっては、その提供したサービスに関する入所者からの苦情に関して、市町村等が派遣する者が相談及び援助を行う事業その他の市町村が実施する事業に協力するよう努めなければならない。

(事故発生の防止及び発生時の対応)
第三十一条  特別養護老人ホームは、事故の発生又はその再発を防止するため、次の各号に定める措置を講じなければならない。
一  事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。
二  事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通した改善策について、職員に周知徹底を図る体制を整備すること。
三  事故発生の防止のための委員会及び職員に対する研修を定期的に行うこと。
2  特別養護老人ホームは、入所者の処遇により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
3  特別養護老人ホームは、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
4  特別養護老人ホームは、入所者の処遇により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
老人福祉法
(昭和三十八年七月十一日法律第百三十三号)


【 改正履歴等一覧 】
最終改正:平成二〇年五月二八日法律第四二号


(最終改正までの未施行法令)
平成十八年六月二日法律第五十号 (未施行)

平成二十年五月二十八日法律第四十二号 (未施行)

 



 第一章 総則(第一条―第十条の二)
 第二章 福祉の措置(第十条の三―第十三条の二)
 第三章 事業及び施設(第十四条―第二十条の七の二)
 第三章の二 老人福祉計画(第二十条の八―第二十条の十一)
 第四章 費用(第二十一条―第二十八条)
 第四章の二 指定法人(第二十八条の二―第二十八条の十四)
 第四章の三 有料老人ホーム(第二十九条―第三十一条の四)
 第五章 雑則(第三十二条―第三十七条)
 第六章 罰則(第三十八条―第四十三条)
 附則
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